ここに来て朝晩はぐっと気温が下がるようになってきました。
季節の変わり目では体調に気を付けたいところです。
これは人間だけではなく不動産も一緒。
寒暖差によって結露が生まれ、温度や湿度の変化で壁紙は伸びたり縮んだり。
空家の場合はもっと注意が必要です。
困っている不動産の相談を受けると、まず現地に向かいますが、一戸建ての場合はやはり使っていない空家が多いんです。
家というものは人が住んでいないとすぐに荒れてしまいます。
家の中に入るまでは草木が生い茂り、室内は換気をしていないので空気がこもっていて、木製部分は傷みが拡がり、畳は弛んで波を打ち、カビが生えていたり、ネズミなのかゴキブリなのかのフンが多数落ちていたり…
困る前に不動産に対して何かできなかったのか。
空家は放っておくとトラブルのもとにもなりかねません。
改築などで活かせられれば良いですが、場合によっては壊したり手放すこともリスク回避の一つです。
ご相談や携わった案件の具体的なお話し
「5mもあるのに? 道路じゃないの?」
相続により取得した都内の戸建をお譲りいただきました。
ご両親はお亡くなりになり、相続人はそれぞれ独立していて、現在は誰も住む人がいない空家状態。
前面幅員は5mあり、車も何不自由なく通行可能。
しかし、建築基準法上の道路ではありませんでした。
つまりは「道路」ではなく「通路」という扱いのため再建築不可。
建物が建てられないので解体もできない、利用もしないから手放したい、との相談でした。
再建築不可には今回のような建築基準法上の道路に接していないほかに、接道が2mに達していないケースもあります。
いずれにせよ隣接する方々が協力してくれたり、提供してくれたりすると解決します。
本件は過去に道路とすべく役所と協議した過去がありました。
しかし役所の見解や意向と、住民の希望や負担の間に乖離があり頓挫しました。
通路にしか接していない家の人は再建築できるようにしたいし、角地の家の人はもう片方の道路に接しているので完全なる協力者。
別に変更できなくても良いんです。
今回このような経緯を踏まえて、当社は建物が建てられるようにする事を第一に動き出しました。
それは建築基準法上の道路である位置指定道路認定。
そしてその為には、最終的には道路として申請する図面に 当事者全員の「実印押印」「印鑑証明書添付」という高いハードルがあります。
疑心暗鬼となっている近隣の方に時間をかけて、皆さんの負担は何もない、あった時には当社が負う、と説明。
その都度生まれる誤解を何度も何度も解きながら、私道所有者、接道する土地所有者、建物所有者、これら全員に了承してもらいました。
晴れて当社が所有する戸建も再建築が出来るようになりましたが、これは近隣皆さんの資産価値向上という結果があってのもの。
「自分だけ良けりゃいいや」という気持ちだったら今回まとめることは出来ませんでした。
不動産1分講座
原状回復費用について
今回は『原状回復費用』についてお話しします。
オーナーが貸した時の状態を100として、賃借人退去に伴って100の状態に戻すことを原状回復といいます。
この原状回復の費用は、ガイドラインによってオーナー負担分と賃借人の負担分とに分かれています。
このガイドラインは賃借人にとって有利との見方をする人もいて、踏まえるとオーナーの負担分が大きくなっています。
綺麗に使っていたな、と見えるワンルームの場合、表面だけのリフォームをするとします。
壁紙を交換して、少々手直しを入れて、ハウスクリーニングをして。
その他にも、交換すべき備品がちょこちょこあるんです。
そうすると合計で簡単に10万を超えてきます。
大掛かりになって、給湯器を入れ替えなきゃいけない、トイレやお風呂に亀裂が入っているだとか、水回りなどの交換が必要になってくると30万を超えるケースもザラにあります。
その為、次のどちらで行くか、事前に決めておいた方が良いかもしれません。
安かろう悪かろうではないですが、『必要最低限のリフォームと決めて、賃料も安くても構わない』と割り切るか。
それとも、賃料低下を防ぎ、付加価値をつけ、賃借人がすぐに入るように、『毎回毎回しっかり原状回復と修繕にお金をかけるか』。
これは、投資をする上での、最初の決断かもしれません。
知らないと大変!身近な法律豆知識
自宅を妻に贈与したら債権者から訴えられる⁉
債権者と債務者の間では、しばしば問題が発生するものです。
今回は、そうしたトラブルのひとつである「詐害行為」について解説します。
Aさんという人が大きな借金を抱えてしまいました。財産よりも借金の方が多くなってしまった状態、つまり債務超過です。
もう現金はなく、唯一の財産は自宅の家と土地だけでした。
すると、ある日突然、金融機関から訴状が届きました。
それは、「詐害行為取消訴訟」に関するものでした。
じつはAさん、唯一の財産である自宅と土地を妻に贈与していたのです。
これは、「詐害行為(さがいこうい)」と呼ばれ、債務者が債権者を害する行為だとして贈与を取り消されてしまうことがあります。
このような場合、債務者はどうすればいいのでしょうか?
「やわらか頭体操」