これまで渋谷の再開発について何度か触れました。
今月は日本最大級のダンジョン(迷宮)「新宿」。
20数年前、夢と希望を胸いっぱいに上京して、初めてアルバイトした地が新宿でした。
その新宿は今、生まれ変わろうとしています。
そもそも新宿は、各鉄道会社が建てた建造物が駅を覆い、東西の動線の悪さ、分かりにくさが問題でした。
そこで掲げられたのが、新宿駅と周辺を分かりやすく、人に優しい街とし、魅力を向上する再編計画。
新宿中央公園から新宿御苑までを街全体として改造する「新宿グランドターミナル構想」というもの。
この構想で、各社の建造物を建て替えで一体化し、新宿駅周辺の街を歩行者デッキで繋ぎ、各所に歩行者用の広場を設けようとしています。
その中心地となる新宿駅は、内閣府の国家戦略特別地域として、根本から構造を変える大規模な建て替えが構想されています。
先月閉館した小田急百貨店新宿店も、いよいよ解体に着手します。
跡地には東京都庁超えの260m、48階建ての超高層ビル!
今後の変化が楽しみですね。
とはいえ個人的には隣接する思い出横丁は変わらず残っていて欲しい!
消えていく昭和の面影、見られるのは今だけかもしれません。
ご相談や携わった案件の具体的なお話し
前回序章をお話しした10階建て案件の解決編No.1。
まずは「払下げ」と地目「田」について。
本件は国有地の借地権だったので、まず国から底地の払下げを受けることにしました。
相談者は借地契約の期限とそれまでに支払わねばならない税金、という大きな二つの課題がありました。
手元の貯金は潤沢ではありません。
国の許可を受けた転貸借をしていないので、その転借部分だけを切り離して資金化することもできません。
そもそも一筆の土地なので、分筆せずに転借部分の借地権だけを売却するのは困難です。
これらの理由から自宅を残して納税資金を賄うには、払下げ後に、自宅部分を分筆し、それ以外を売却するしか方法がありません。
「売却価格」-(「払下げ価格」+「税金」+「その他」)
この算数をプラスにする必要がありました。
早速こんなフワフワしたグラグラな状態の案件の売却価格の査定と、払下げ価格の確定を進めます。
売却価格を査定して話を進めたはいいが、後々下がってしまうと大問題になります。
そこで信頼のおける不動産業者に相談し購入価格を試算してもらいました。
しかし話を進めれば進めるほど立ちはだかる底地の地目「田」。
田や畑のような農地は農地法が適用されるため、権利移転をする際は農地法上の手続きを行う必要があります。
この手続きを行うことができるのは現在の所有者のみ。
払下げの流れは、国(甲)→相談者(乙)→不動産業者(丙)
今回は不動産業者の資金を利用して払下げを受けようとしているので、払下げ時にはまだ乙丙間における乙に手続きを行う権利がありません。
窓口となる農政局からアドバイスがありました。
アドバイスをもらって対応するものの、管轄の法務局も初めて行う手続きだったので確認作業が遅々として進みません。
司法書士の先生に尽力いただき、なんとか甲の手続きが丙まで及ぶように取り計らってもらいました。
また売却価格が高額なので、不動産業者が購入するにあたっても金融機関から融資を利用することになりました。
ここでも現況地目が田であるものに担保設定していいのか、という壁にぶつかりました。
土地家屋調査士に尽力いただき、現況利用状況から必ず宅地へ変更できるという裏付けを取りつけ、なんとか資金繰りの確定ができました。
と今月はここまで。
次回は払下げ自体に触れていきます。
不動産業界思い出あれこれ
⑥『地面師』
地面師については、数冊本にもなっています。
地面師として真っ先に思いつくのが、世紀の大事件となった「積水ハウス地面師詐欺事件」。
積水ハウスが詐欺グループに55億5千万円も騙し取られました。
この渦中の「海喜館」は、不動産業界では有名な五反田駅近の大きな空き家でした。
都心部の不動産は未だ高額で取引されていて、空き家や空地なんかは、誰が見ても「勿体ないな」と思うものです。
所有者が放置しているのを良いことに、権利証や印鑑証明書、そして身分証明書や判子なんかも本物同然の偽物を用意し、所有者になりすまし、取り引きを成立させてしまったものです。
不動産業界だけではなく、営業は、毎年度、毎月毎に目標というノルマがあります。
その締め日ともなると、まだノルマに達していなければ到達するように、上層部からは煽られ、本人も全力を尽くします。
その慌てる気持ちを逆手に取られると、確認作業を怠ってしまったり、普段ならばありえない妥協をしてしまうものです。
この事件が起こったのが2018年4月。
詐欺事件として取り扱われたその契約は無効となり、そのわずか7か月後の2018年11月に、旭化成不動産レジデンスが本当の所有者からこの海喜館を取得しています。
何が事実で何が真実なのか、私たちには知る方法がありません。
ワンポイントスキルアップ
Excelで1行おきに色を付ける方法
大量のデータを処理するときに、セルの背景色を1行おきに変更することでデータが見やすくなります。
今回は、条件付き書式で数式を入力して設定する方法をお伝えいたします。
【対象の文字列を指定し数式を入力】
背景色を設定したいセル範囲を選択した後、「ホーム」をクリックします。
「条件付き書式」をクリックし、 「新しいルール」をクリックします。
1.ホームをクリック
2.「条件付き書式」をクリック
3.「新しいルール」をクリック
4.「数式を使用して、書式を設定するセルを決定」をクリック
5.数式を入力
6.「書式」をクリック
7.背景色を選択
8.「OK」をクリック
9.プレビューを確認後OKをクリック
セルの背景色を1行おきに変更されました。